2017年8月14日月曜日

戦争に翻弄される犬たち②

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。

本当に気分の悪いお話ですが、目を背けずに知ることで、同じ過ちを繰り返さないために・・・

ひきつづき【太平洋戦争中の日本の犬たち】について書いていきます。

●供出された犬たち

太平洋戦争当時にわたしたちが犬に行った狂気じみた行いは、下の写真を見ればわかりますね・・・




けれども当時の日本で、人間から非道な仕打ちを受けたのは、軍用犬(戦争に利用される犬)や軍犬(部隊に配属され出征させられる犬)にされた犬ばかりではありません。

日中戦争が泥沼化して、太平洋戦争に突入しようかという1940年あたりから、軍用犬以外の犬や猫は不要だという声が上がりはじめました。

配給も乏しく、人間がろくに食べることができないというのに、犬や猫にやるエサなどないということで、ペットを飼っている人はぜいたくな非国民と非難される空気が流れたのです。



おい人間?!オマエたちが勝手に始めた戦争でしょーが?!

そのせいでエサが十分に食べられなくなった犬たちは、ただでさえ

いい迷惑!とんだとばっちり!

それなのに、何を勘違いしているのやら・・・・(プンスカプンスカ)



ペットを飼っている人を非難する声は、戦争の拡大に伴ってどんどん厳しくなっていき・・・

飼い犬にかかる畜犬税という税金が増税されました。

警視庁は、犬の肉を精肉店で扱うことを認めました。

アメリカによる本土空襲が始まって戦局が厳しくなった1944年になると、軍需省と厚生省が飼い犬の供出を徹底するように、次のような通達を出しました。

『軍需毛皮革ノ増産確保、狂犬病ノ根絶、空襲時ノ危害除去ヲハカルタメ、一切ノ畜犬ハ、アゲテ献納、モシクハ供出サセルコト』

現代語にすると

『軍需用の毛皮を増産確保するため、狂犬病を根絶するため、空襲時に犬が驚いて人に危害を及ぼす恐れを排除するため、すべてのペットは献納または供出させるように』

ということですね。


昭和20年(1945年)の日向日日新聞の記事


これによって、軍用犬・警察犬・狩猟犬などの特別な許可を受けた犬以外の、すべての犬がお国に差し出され、命を奪われることになったのです。


『犬やねこが消えた 戦争で命をうばわれた動物たちの物語』(井上こみち/学研)という本の中には、可愛がっていた犬や猫を泣く泣く供出した飼い主さんの哀しみや、供出された犬や猫を殺すように命じられた人の苦しみが、当事者の言葉として書かれています。

 


当時15歳だったある少年は、友人から「いい仕事がある」と誘われるままに行ってみると・・・

国民服に戦闘帽の、こわい顔をした男性に

「これからおまえたちには、お国のため、軍隊のために働いてもらう」

と言われ、一本の丸太棒を手渡されます。

「大事な資源なので、そまつにあつかってはならない。毛皮に傷がつかないように、一発で殺せ」

そこには、犬や猫、うさぎなどのペットを供出するために連れてきた人たちが集まってきていました。

うつむいてすすり泣いている女の人や、犬を抱きしめている女の子・・・

少年は、こわい顔をした男性に逆らうことができず、命令された通り力いっぱい棒をふりあげたといいます。

なぐられるまでじっと座っている犬もいました。

歯を剥き出して威嚇するので、何人もで押さえつけなければいけない犬もいました。

押さえつける人を振り切って逃げだす犬もいました。

こうして殴り殺された犬や猫は、皮をはがされました。
軍需用の毛皮にするためです。

少年にとっての最後の仕事の日。

何匹もの猫が抵抗して、近くにあった木の枝に逃げました。

猫たちは葉のない枝にしがみついたといいます。

その木を見て、この少年は

「まるでねこの木だ! ねこの木がふるえている」

そして少年は、めまいを起こしてその場に倒れたそうです。

この証言をした男性は、老人となった今でも【犬をだいた悲しそうな女の子の横顔】を夢に見るそうです。そして・・・

「あんなバカげたことをさせる戦争を、二度としてはいけないよ」

と語っておられます。


Pet Hotel 11!のある神奈川県では、太平洋戦争末期に、犬を供出した人に対して、せめてものお礼にと、犬一頭につき牛肉か豚肉を百匁(およそ375グラム)ほど交付したといいます。

当時、一般家庭では当然肉なんて手に入りません。

大変貴重なものです。

にもかかわらず、愛犬を供出にきた飼い主さんの中には、肉の配給券を受け取ると、

『すぐに戻りますから、わたしが帰って来るまでこの子を連れて行かないでください。』

と係官に頼んで、大急ぎで肉を買ってもどり、愛犬に食べさせようとした人もいたそうです。

けれども勘のいい犬は、肉を鼻先に出されても何かを察知したのか、一切口をつけないので、飼い主さんは仕方なくその肉の包みを愛犬の首に結わえ付けて、肩を落として帰って行ったといいます。


【ぜひ観ておきたいDVD】

先ほど少し内容をご紹介した、井上こみちさん原作の『犬やねこが消えた 戦争で命をうばわれた動物たちの物語』は日本テレビでドラマ化され、DVDになっています。

他にも、戦場に駆り出された軍用犬アルマと、アルマを調教した青年を描いた『さよなら、アルマ 赤紙をもらった犬』というドラマがNHKのスペシャルドラマとして放映され、やはりDVDで視ることができます。

目を覆いたくなるような辛い史実ですが、現実にわたしたち日本人が行ってきたことです。

同じ過ちを繰り返さないため、この夏ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。


  



【戦争に翻弄される犬たち】のお話は、あともう少しだけ続きます。


<今日のPet Hotel 11!>

はじめまして。ボク、そらくんです。
他の犬やだやだ!こわい!キライ!

怖くないってぇ~~!
そうそう。怖くないから~!
どれどれ~?クンクン♪
そらくんのお尻嗅いだらウンチしたくなっちゃった
よっこらしょっと・・・
(なぜかいつもバランスの悪い体勢でウンチするマメくん)

ヘンな恰好でウンチしてるよう~
こわいいいいい・・・・・

こわくてボクもウンチ・・・
なつ「なんでやねんっ?!」

ワタシもはじめまして。ブランで~す♪
みんな仲良くしてね~~!

わーい!キミ、キャワイイねぇ~~!
マメだよ。よろしく♪

やだ。仲良くしない。犬キライ。
でもかあちゃん、ボク、お留守番頑張るよ!