2017年11月19日日曜日

不妊去勢は必要か?⑤

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


【不妊去勢手術のメリット(つづき)】


不妊去勢手術のデメリットや、その他のメリットについては前回までのブログをお読みください。

不妊去勢は必要か?①
不妊去勢は必要か?②
不妊去勢は必要か?③
不妊去勢は必要か?④

前回までをお読みいただいている前提で、メリットの続きです。


●QOLが上がる


QOL=クオリティーオブライフ つまり、生活の質ですね。

飼い主さん、ワンちゃんのそれぞれ、または両方にとって、普段の生活の質が向上することはメリットといえます。

不妊去勢手術をすることによって、具体的にどんなQOLの向上があるかというと・・・


◆女の子の場合


・ヒートの煩わしさからの解放


単純にヒート(生理)がなくなることで、年に2回の出血という煩わしさから解放されますね。

これは主に飼い主さん側が助かることかもしれません。

未避妊の女の子ワンちゃんがいるご家庭では、お布団やソファ、クッションやカーペット、車のシートを汚されてしまった経験がおありなのでは・・・?


・予定がヒートに縛られない

『ヒート中のワンちゃんはお断り』というドッグランやペットホテル、その他施設はたくさんあります。

(ヒート中でなくても、未避妊の子は受け入れ不可としている施設もありますが・・・)

家族全員の休日がやっと調整できそうな日に、ワンちゃんのヒートがかぶってしまいそうだからと旅行を諦めたお話もよく聞きます。

ヒートがなければ、旅行計画も立てやすくなりますし、いつでもドッグランなどに連れて行ってあげることができますね。


・お散歩やお庭遊びに神経質にならずに済む

近所の未去勢ワンちゃんを刺激して、万一のことが起きたら大変です。

そのため、ヒート中の女の子の飼い主さんは、お散歩時になるべく他のワンちゃんとの接触がないように大変気を使いますね。

お散歩の時間を他の子がいないような時間にしたり、中にはヒート中はお散歩させないという飼い主さんもいらっしゃいます。

そうなるとお散歩好きなワンちゃんは可哀相ですね。

ときどき、そんなこと全然気にしないでいつも通りお散歩させるという飼い主さんもいますが、ぜひとも気を使ってくださーーーい!

未去勢のワンちゃんを連れた飼い主さんにしてみれば、ヒート中の子が近くを通ることによって、突然自分の愛犬が暴れ出したり、飼い主さんを振り切って走り去ってしまうこともあって、とっても迷惑だからです。

中には、ヒート中の女の子をお散歩中に、他のワンちゃんに乗っかられたと激怒する飼い主さんもいるようですが、そんな逆ギレは困っちゃいますねぇ(-_-;)


ヒート中のワンちゃんは、お庭遊びもキケンです。

以前も実家のお庭に侵入してきたシェパードくんのお話をしましたが、発情した未去勢ワンちゃんは、鎖を引きちぎり、何Kmも離れた女の子のところへ行き、そして難なく柵を乗り越えたり破壊したりして侵入してくるほどのエネルギーを持っています

いつの間にか、愛犬のお腹が大きくなっていた・・・という事例はアルアルなんです。

ですから、ヒート中には絶対に飼い主さんの目の届かない状態でお庭遊びをさせるのはやめてくださいね~!


避妊手術をしておくことで、こういった、ヒートにまつわる煩わしさや不便さ、リスクはなくなりますね。


◆男の子の場合


これはもう、前にお話ししたことと重なりますので簡単に・・・

・ワンちゃん自身のQOLの向上

ワンちゃんが、達成が許されぬ本能的な性衝動に振り回され、それを抑圧するストレスを感じる・・・ということは去勢手術によってなくなります。


・飼い主さんのQOLの向上

去勢手術を受けさせることで、性ホルモンが原因で起きる問題行動(攻撃性や興奮しやすさ、衝動的な行動、過度のマーキングなど)が軽減し、愛犬をコントロール(制御)しやすくなります。

日々のお散歩やドッグランで、他のワンちゃんにケンカをしかけてしまうから肩身が狭いという飼い主さんは、去勢することによってその悩みから解放されるかもしれません。

トリミングサロンやペットホテルに断られたり、連れて行きにくかったりということもなくなるかもしれません。

QOLといのは、ひとつひとつは取るに足りないことかもしれませんが、何年も続く生活を考えた時に、不便さや煩わしさがジャブのように効いてきて、

「あ~あ、このワンコさえいなければなぁ・・・」

なんて飼い主さんから思われてしまうワンちゃんが減ることになるのではないかと思います。



●犬の殺処分頭数を減らせる


このお話は”風が吹けば桶屋が儲かる”みたいなお話かもしれません。

スンナリと納得できる方と、

「え?なんで?どんな因果関係?」

と思う方がいらっしゃるでしょう。

まず単純に・・・

平成28年度に国内で殺処分になったワンちゃんの数は10424頭(猫ちゃんはその4倍以上!)

エイヤーッ!と日割りにしちゃうと、1日におよそ30頭弱のワンちゃんが、わたしたちの税金で殺されていることになります。

なんで殺処分になっちゃうかっていうと、簡単に言うと引き取り手がいないからです。

要するに犬は余っています

余っているのにどんどん人間が繁殖させて増やしているから、いつまでたっても殺処分されるワンちゃんはいなくならないんですね。

食料が余って大量に廃棄されていることが問題になっていますが、今のわたしたち日本人は、命を余らせて大量に廃棄している状態です・・・。



例えば、予想外に愛犬が妊娠してしまって子犬を5匹生んだとします。

まあなんとか飼えるから頑張ろうと6匹のワンちゃんの面倒をみていたところ、子犬たちが成長してまた次々に繁殖し、16匹になっていて・・・

アっという間に多頭崩壊に陥って保健所に泣きつくことになり・・・最終的には殺処分されてしまうかもしれません。

それに・・・生まれた子犬が運悪く奇形だったり、先天的に重大な疾患を持っていたとしたらどうしましょうか?

最期まで責任を持って面倒をみれる飼い主さんが大多数だと思いますか?


例えば、あるご家庭のワンちゃんが妊娠・出産して、産まれた子犬を他の人にあげたとします。

犬をもらったご家庭は保護犬を引き取ろうと思っていたとしたら・・・

どこかで殺処分されるワンちゃんが1頭増えたのかもしれません。


例えば、震災や土砂災害、大規模火災などである地域が壊滅的な被害を被って、たくさんのワンちゃんたちが野犬化したとします。

そのワンちゃんたちが未去勢・未避妊で、勝手にどんどん繁殖を繰り返したら・・・

生まれた子犬たちは飼い主不明で殺処分されてしまうかもしれません。

※福島では実際にそのような状況がありました。


「ハハハ、まさかぁ~!そんなことまで考えてられないよ!」

と言われるかもしれません。

でも、わたしは少なくとも、どこかで殺処分されているワンちゃんがいて、それを食い止めるには蛇口を締める・・・つまり産まれてくる頭数を減らすしかないことが判っている以上、万が一にも自分の飼い犬が蛇口を緩めるような存在になってはならないと、そう考えてしまうのです。

そのために、たくさんの『例えば…』や『もしかして…』を考えておくのも、飼い主としての責任ではないかと思っています。


いつの日か、犬を飼いたい人の方が犬の流通量よりも少ないくらいになって、保護犬を引き取りたいという人が順番待ちをしているような状況になればいいなと思います。

増やしすぎて殺すというのは、やっぱりどう考えてもおかしなことです。


不妊去勢手術について色々とお話してきましたが、メリットもデメリットもあることなので、するかしないかは飼い主さんの判断です。

行政では、将来的に手術を義務化するという案も出ていますが、実現する見通しは立っていないようです。

もしかすると、義務化されてしまえば、手術を受けさせたくない人ははじめから犬を飼わなくなるのかもしれませんし、手術を受けさせるかどうかという飼い主さんの悩みもなくなるのかもしれません。


命や生命の誕生について考えることは、神の領域とも呼ばれていて、本当に難しいですね・・・正解はだれにもわからないんですから・・・




<今日のPet Hotel 11!>


森の子熊ではありません。
犬の”くまくん”で~す♪

今日はとっても風が冷たいから
チャコはダウンを来てお庭遊び

他の子よりも早く暖かいお部屋に戻ってきました~
「ああ~寒かった!」

「嗚呼・・・ボクのボール・・・」(ウットリ)

ボスのボール、
数秒後にはくまくんにアッサリ取られました(笑)

どうした”なつ”?
味見した虫さんが苦かったかな~?

いっぱい歩けば寒くなんかないもんね~!