2018年2月25日日曜日

パニックになると指示が耳に入らないワンちゃん⑥

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。





前回のブログに引き続いて、

「ウチの子は、普段は『マテ』ができるのにパニックになると指示が耳に入りません。そういう場合はどうすればいいのでしょう?」

というワンちゃんに、どのように対処すればいいかを考えていきます。


パニック対策の大前提の復習でーす↓

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<パニック対策の大前提(復習)>

・パニックに陥った犬が指示を聞くことは不可能。パニックにさせない対応を!

・愛犬がパニックになる原因を把握しておくこと。

・愛犬が飼い主さんをリーダーだと認識していること。
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ワンちゃんをパニックにさせないために飼い主さんができる3つの方法

「回避法」「克服法」「対処法」

のうち、「対処法」に欠かせないとわたしが考えることがいくつかあります。

前回「フセ」「マテ」を覚えさせることをお勧めするとお話したのも、そのひとつです。

では何故「フセ」「マテ」が大事なんでしょう?


【「フセ」と「マテ」を勧める理由】


●「オスワリ」ではなく「フセ」


ワンちゃんがパニックになった時に困ってしまうのは、


興奮して激しくワンワン吠えたり・・・

飛び掛かって行こうとしたり・・・

逃げ出そうと暴れたり・・・


という問題行動をされてしまうからですよね?

これらは「オスワリ」では封じられません。

何故なら、ワンちゃんは「オスワリ」したままワンワン吠えることが可能ですし、オシリさえ上げればすぐに飛び掛かったり走り出したりできてしまうからです。


◇「フセ」は吠えにくい体勢


「フセ」の体勢で吠え続けているワンちゃんを見たことがありますか?

あんまりイメージが湧かないですよね?

そう、「フセ」をさせるとワンちゃんはまず吠えるのをやめます。

ワンちゃんは、吠え続けることで自ら興奮状態を高めてしまって、何も耳に入らない状態に陥ってしいます。

つまり、ワンワンするのはパニックに油を注ぐようなものです。

ですから、ワンちゃんが吠えにくい「フセ」の体勢を取らせることは、パニック対策に大変役に立つんです。


◇「フセ」は急に動けない体勢


更に、オシリさえ上げればすぐに臨戦態勢に入れる「オスワリ」と違って「フセ」の体勢は、立ち上がるのが一拍遅れますね?

ですから、犬界では「フセ」の体勢は”服従体勢”なんです。

服従体勢とは、

「参りました」「あなたに敵意はありません」「私はあなたに従います」

ということを表す体勢です。

お腹を見せる体勢が意味する

「降参です!許してください!」

の次に従順さを示している体勢が「フセ」なんですね。


ワンワン吠えながらアタフタと動き回ることをしないで、黙って地面にお腹をつけて服従体勢を取ることで、自然とワンちゃんは落ち着き、飼い主さんの指示に耳を傾けることができる状態になるというワケです。


ドッグランなどでワンちゃんをよく観察していると、さんざん走り回った後、休憩したい時に、お腹を地面につけて「フセ」をしている光景をよくみかけます。

これは、熱くなった身体を物理的に冷やすと共に、興奮しすぎた自分の頭を冷やすという目的もあるんです。

ですから、追いかけっこしている相手がいる場合に、

「ちょっとタイム!休憩させて!」

「キミもちょっと落ち着いてよ」

ということを相手のワンちゃんに伝えたい時にも、あえて「フセ」の体勢をして見せます。

そういう意味で、「フセ」はワンちゃん自身が最も冷静沈着になれる体勢なんです。



覚えさせたいでしょ~~~~?!



●「やめさせる」か「させる」か


もうひとつ、「フセ」をお勧めする理由があります。

それは、「何かをやめさせる」より「何かをさせる」しつけの方が簡単だということ。

ワンちゃんにしつけをする際、「オスワリ」「オテ」のように、「何かをする」ことを教えるのは、割と簡単ではありませんか?

何故なら、飼い主さんにとっては教えやすく、ワンちゃんにとっては覚えやすいからです。


◇教えやすさ


しつけで大切なのは、成功した時に褒めるタイミングです。

「何かをさせる」場合は、してほしいことをワンちゃんがした瞬間に褒めるだけでいいんですから、よっぽどボンヤリしている人でなければ簡単にできます~(笑)

そして、飼い主さんとしては「お願い!オスワリしてちょーだい!」と祈るような気持ちでしつけていますから、ワンちゃんがオシリを床につけた瞬間、心の底から喜んでワンちゃんを褒めちぎることが自然にできます。


◇覚えやすさ


ワンちゃんの側から見ても、「オスワリ」って言われた時にオシリを床につけたらメチャクチャ褒められた!!

ってゆーのは、ものすごーく単純で覚えやすいことです。

うまくできた時に、オヤツをもらえたり飼い主さんがとっても嬉しそうな顔をして褒めてくれるんですから、んも~~何度でもやっちゃう♪

って気持ちにもなりますね。



これに対して・・・「何かをやめさせる」しつけは、飼い主さんにとっては教えにくく、ワンちゃんにとっては覚えにくいんですね。


◇教えにくさ


そもそも「何かをやめさせる」時ってゆーのは、飼い主さんにとって不都合な、やってほしくない行動をワンちゃんがしている時です。

来客中にワンワン吠えたり、拾い食いをしたり、家具をかじったり、オシッコシートを引き裂いたり・・・といったことですね。

飼い主さんは「んも~~!!」って怒っていますから、「ダメッ!」とか「ノーッ!」とか言う中止のコマンドを出して叱るでしょう。

で・・・ワンちゃんが困ったことをやめたら?

どうしますか?

「やめろ」と言って「やめた」んですから、褒めないといけませんね?

でもここで、すんごく迷いませんか?


「今褒めたら、その前にやっていたイタズラを褒められたと勘違いしちゃうんじゃーないかしらん?」

「何がいけなかったか、ホントにこの子に伝わったのかしらん?」


ってな感じで心配になりますよね?

その上、ワンちゃんがしでかしたことに腹を立てている状態ですから、飼い主さんは急に心の底から褒めちぎるほど器用に気持ちを切り替えられません。

そのため、多くの場合、ワンちゃんが飼い主さんの指示でちゃんと困った行為をやめたにも関わらず、絶妙のタイミングで褒めるという大事なことがうまくできないんです。

なんとな~~~く不穏な空気になり、ワンちゃんはバツの悪そうな顔をして、引きちぎられたクッションを忌々しそうに見つめる飼い主さんを上目遣いで見ている・・・

みたいな感じでその場は終わってしまうわけですね。


◇覚えやすさ


当然、ワンちゃんにとっても突然叱られたのは何故なのか?が非常にわかりづらいです。

ワンちゃんが独りお部屋で・・・


イェーイ!!オシッコシートビリビリぃ~~~~~♪


って遊んでいたら、メチャクチャ不機嫌な飼い主さんがやってきた!


なんか怒ってる・・・なんだろう??

はしゃぎすぎだから?

呼ばれたのにボク、気づかなかったのかな?

オシッコシートの破片を食べちゃったのがダメだったのか?


混乱しながら、とにかく怒っている飼い主さんに許してもらいたいと、そればかり考えています。

そこで、静かにオスワリして上目遣いで飼い主さんを見つめてみても、一向に飼い主さんから褒めてはもらえません。


・・・なんだったんだ?飼い主さん、もしかして便秘か?!


ってな感じで終わってしまいます(意味ないぢゃ~~~ん)



パニックなどの困った行動を「やめさせる」ということが、いかに難しいか、ご理解いただけたでしょーか?

それに加えて、パニックを「やめさせる」ためには、ワンちゃんがパニックを起こしてから指示を出すことになりますね?


んなもん・・・・聞こえないっちゅーの (-_-;)


ワンちゃんがパニックを起こしそうなタイミングで「フセ」をさせ「マテ」で服従体勢を維持させることによって、パニックが起こせないようにしてしまうのが味噌なんです!



このようにして、困った行動を別の両立し得ない行動をさせることによって封じ込めるやり方を「対立行動法」って呼びます。


ようちえんの先生が、子どもたちを静かにさせたい時に

「静かに~~!黙りなさ~~い!」

と声を張り上げて、今していることを「やめさせようとして」も、テンションMAXのキッズはなかなか静まりません。

ところが、

「お口チャックして~~~♪」

と、キッズに別なことを「させる」ことによって静かにすることは簡単です。

「お口にチャックする」という行動は「お喋りする」という行動と両立しないからですね。


ワンちゃんに「フセ」をさせた状態を「マテ」でキープすることは「パニック状態」とは両立し得ない行動だから、とっても有効なんです。



長くなってしまいました。

つづきはまた次回にしまーーす!




<今日のPet Hotel 11!>

朝の海岸さんぽ♪

よく走って・・・

上手に歩いて・・・

全員、快便♪

ボス「チャコはどうしていっつもボクを枕に
するわけ~?」

チャコ「そりゃ、ボスが大好きだからに
決まってるじゃない!」
ボス「そっかぁ~~~~~~~♪」

単純く~ん(-_-;)